本の基本情報
著者プロフィール
アダム・グラント
ペンシルベニア大学ウォートン校教授。組織心理学者。1981年生まれ。同大学史上最年少の終身教授。
https://www.mikasashobo.co.jp/c/books/?id=100574600
『フォーチュン』誌の「世界でもっとも優秀な40歳以下の教授40人」、『ビジネスウィーク』誌の「Favorite Professors」に選ばれるなど、受賞歴多数。
「グーグル」「ＩＢＭ」「ゴールドマンサックス」などの一流企業や組織で、コンサルティングおよび講演活動も精力的に行なう。
本書は24カ国語以上で翻訳され、世界中の人びとの「働く意義」を変えたといわれる大ベストセラーになっている。
本書の要点
- 人は「ギバー（与える人）」「テイカー（奪う人）」「マッチャー（バランスを取る人）」の3タイプに分かれるが、最も成功するのは「他者思考のギバー」である。
- 自己犠牲型のギバーは最も損をしやすく、成功するギバーとの違いは「自分も相手もWin-Winの関係を築けるかどうか」にある。
- ギバーは周囲に多くの人を惹きつけるため、長期的に見ると大きな成果を上げることができるが、テイカーには与えすぎず慎重に対応する必要がある。
- テイカーは短期的に成功することもあるが、最終的には周囲の反感を買いやすく、長期的には成功しにくい。
- テイカーを見抜くには、彼らが「自分にとって利益のない人」にどのように接するかを見ることが重要である。
人は3つのタイプに分かれる
人の性格や行動は、大きく3つのタイプに分類される。相手に惜しみなく与える「ギバー」、自分の利益を最優先にする「テイカー」、そして公平な取引を重視する「マッチャー」だ。この本では、どのタイプが最も成功しやすいのかを検証している。それぞれの特徴を知ることで、自分自身や周囲の人を客観的に見つめるきっかけになるだろう。
ギバー：見返りを求めずに与える人
ギバーは、他人の利益を優先し、見返りを求めずに与える人だ。困っている人を助けたり、知識や情報を惜しみなく共有したりする。他者への貢献を何よりも大切にするのが特徴だ。
たとえば、職場で同僚の仕事を積極的に手伝う人がいる。締め切り間近のプロジェクトをサポートしたり、新人に丁寧にアドバイスをしたり。これが典型的なギバーの行動だ。ギバーは、人との関係を重視し、助け合いの精神を大切にする。そのため、周囲からの信頼が厚く、長期的に成功しやすい傾向がある。
しかし、自己犠牲のギバーになると状況は一変する。自分の時間やエネルギーを削りすぎると、疲弊してしまう。職場でもプライベートでも「与えすぎて消耗する」ことには注意が必要だ。
テイカー：利益を優先して奪う人
テイカーは、自分の利益を最優先に考え、他人からできるだけ多くを得ようとするタイプだ。損をしないように立ち回り、相手よりも自分の利益を最大化しようとする。
たとえば、チームの成功を自分の手柄にする上司や、他人のアイデアを盗んで昇進を狙う同僚がいる。彼らは一見、仕事ができるように見えるが、長期的には信用を失い、周囲から敬遠されることが多い。
ただし、テイカーは短期間で成功を収めるケースもある。特に競争の激しい業界では、強引な交渉や駆け引きが求められる場面もあるからだ。しかし、信頼を犠牲にしているため、長く続く成功にはつながりにくい。
マッチャー：バランスを取る人
マッチャーは、ギバーとテイカーの中間に位置するタイプだ。「お土産をもらったらお返しをする」「奢ってもらったら次回は自分が奢る」など、公平な関係を重視する。与える量ともらう量のバランスを50:50に保つのが特徴だ。
このタイプの人は、人間関係の安定を重視するため、社会では多数派を占める。職場でも、過度に他人を助けすぎず、かといって利用もしない。損得を考えつつ、公平な立場で行動するため、大きなトラブルには巻き込まれにくい。
しかし、マッチャーの行動は時に損得勘定に左右されることがある。相手がテイカーだと、利用されるのを恐れて慎重になりすぎることもある。そのため、関係を築くスピードはギバーほど速くない。
このように、人はギバー、テイカー、マッチャーの3つのタイプに分かれる。それぞれにメリットとデメリットがあり、どの行動を選ぶかで人生の成功に大きく影響する。では、最も成功するのはどのタイプなのだろうか？
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ギバーは最も損をする？成功をする？
ギバーは他人を助けることを優先するため、一見すると損をしやすい。しかし、実際には成功するギバーと損をするギバーがいる。その違いを理解することで、「与えること」が本当に自分のためになるのかが見えてくるはずだ。
損をするギバー：自己犠牲型のリスク
自己犠牲型のギバーは、相手のために自分を犠牲にしてしまう。結果として、時間や労力を奪われ続け、疲弊してしまうことが多い。
たとえば、職場で頼まれた仕事を断れず、常に残業を引き受けてしまう人がいる。その人は、周囲からは「優しい人」「頼りになる人」と見られるが、実際には自分の仕事が終わらず、評価も上がらない。さらに、同僚は「この人に頼めばやってくれる」と思い、ますます負担が増えていく。
また、自己犠牲型のギバーは人間関係でも損をしやすい。友人に貸したお金が戻ってこなかったり、恋人に尽くしすぎて都合のいい存在になってしまったり。相手のために尽くしているのに、感謝されるどころか利用されてしまうことがある。
こうした自己犠牲のギバーは、長期的に見ても成功しにくい。なぜなら、自分の利益を無視しているからだ。与えることは素晴らしいが、「無理をしない」「搾取されない」という意識を持つことが大切だ。
成功するギバー：他者思考でWin-Winを築く
成功するギバーは、自己犠牲ではなく、相手と自分の両方が得をする方法を考える。他者を助けることで、自分の利益にもつながるような仕組みを作るのが特徴だ。
たとえば、職場で後輩に仕事を教えるとき。ただ一方的に教えるのではなく、「自分もスキルアップできる」と考えて指導する。人に教えることで知識が整理され、説明力も向上する。結果として、後輩の成長とともに、自分の評価も上がる。
また、営業職では、顧客のニーズを最優先に考えるギバーが成功する傾向がある。「売りつける」のではなく、「顧客の問題を解決する」ことにフォーカスするからだ。顧客が満足すれば、信頼関係が築かれ、リピーターや紹介が増える。これが長期的な成功につながる。
成功するギバーは、「相手のために尽くす」のではなく、「相手と一緒に成長する」という意識を持っている。こうしたギバーは、周囲からの信頼を集め、結果的に成功を手にするのだ。
仕事や人間関係で最も成功するのはギバー
興味深いのは、ギバーが最も損をする一方で、最も成功するタイプでもあることだ。トップに立つギバーと、最も苦しむギバーの違いは「与え方」にある。
ある調査によると、企業のエンジニアの中で生産性が最も低いのはギバーだった。なぜなら、他人の仕事を手伝うあまり、自分のタスクを終えられなかったからだ。しかし、同じ調査で「最も生産性が高いエンジニア」もまたギバーだった。成功するギバーは、助けるべき人を見極め、自分の仕事も効率よくこなしていたのだ。
また、営業職の世界でも同じ傾向が見られる。押し売りをせず、顧客の利益を考えて行動するギバーは、長期的に見て高い売上を記録する。しかし、相手の都合ばかり優先しすぎるギバーは、売り上げを伸ばせずに苦しむ。
このように、「与えること」が成功のカギになる。しかし、それはただ無条件に尽くすのではなく、Win-Winの関係を築けるギバーであることが重要なのだ。
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成功するギバーになるためのポイント
成功するギバーは、ただ闇雲に他人を助けるわけではない。自己犠牲型のギバーとは違い、相手も自分も得をする関係を築くことを大切にする。仕事でも人間関係でも、自分の利益を考えながら与えることで、長期的に成功を収めるのだ。
自分の利益も考えながら与える
成功するギバーは、他人を助ける一方で、自分自身の利益も見失わない。自己犠牲に陥ることなく、効率的に与える方法を選ぶことが重要だ。
たとえば、職場で同僚の手助けをする場合。すべての頼みを引き受けるのではなく、「このサポートが自分の成長につながるか？」を考える。後輩に仕事を教えることで、自分の理解が深まるなら、それはメリットのあるギブになる。
また、過度な時間や労力を奪われない工夫も必要だ。仕事を頼まれたときに、「この時間なら手伝えるよ」「ここまでならできる」といった線引きをすることで、自分の負担を最小限に抑えつつ相手をサポートできる。
ギブの仕方を誤ると、テイカーに搾取されるリスクがある。だからこそ、「誰にどのように与えるか」を考えながら行動するのが、成功するギバーの特徴だ。
ウィンウィンの関係を意識する
単に「与える」だけではなく、相手も自分も得をする関係を築くことが大切だ。これを意識することで、長期的な信頼関係が生まれ、成功につながる。
営業職のギバーを例に考えてみよう。商品を強引に売りつけるのではなく、「顧客の課題を解決する」ことを第一に考える。結果として、顧客は満足し、長期的な取引につながる。これは、双方にとってプラスになる関係だ。
また、チームで仕事をする場合も同じ。自分の得意分野を活かして仲間をサポートし、同時に自分のスキルアップにもつながるような働き方を意識する。成功するギバーは、「誰かを助けることで、自分も成長できる環境を作る」ことを常に考えているのだ。
人がついてくるギバーの特徴
成功するギバーには、多くの人が自然と集まる。彼らは人間関係においても信頼を築き、多くのチャンスを得ていく。
その理由のひとつは、ギバーの誠実さだ。利害関係を超えて周囲に貢献する姿勢は、多くの人の共感を呼ぶ。信頼できる人には協力者が集まり、結果的により大きな成功へとつながる。
また、成功するギバーは「適切な人を助ける」能力にも長けている。全員に無差別に与えるのではなく、「この人を助けることで、より大きな良い影響が生まれるか？」を考えて行動する。その結果、周囲からの評価も高まり、人脈が広がっていくのだ。
成功するギバーになるためには、「ただ親切にする」のではなく、「自分の成長や成果にもつながる形で与える」ことがポイントになる。この考え方ができるかどうかが、損をするギバーと成功するギバーの分かれ道になるのだ。
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テイカーとの関わり方に注意
テイカーは、自分の利益を優先するため、ギバーが無防備に接すると搾取されてしまうことがある。しかし、適切な対処法を知っていれば、テイカーとの関係も上手くコントロールできる。成功するギバーは、与える相手を選びながら、自分の利益を守る術を身につけているのだ。
テイカーに与えすぎると搾取される
テイカーは、相手から最大限の利益を引き出そうとする。ギバーが何も考えずに与え続けると、利用されるだけで終わってしまう可能性が高い。
たとえば、職場でギバーがテイカーの仕事を手伝い続けたとしよう。最初は感謝されるかもしれないが、次第に「この人に頼めばやってくれる」と思われ、手伝いが当たり前になる。そして、自分の仕事が後回しになり、評価も上がらないまま搾取される。
プライベートでも、恋人や友人がテイカーの場合、気づけば一方的に尽くす関係になりがちだ。誕生日プレゼントをあげてもお返しがない、何か頼まれるばかりで助けてもらえない。このような関係が続くと、ギバーは疲弊し、自分を大切にできなくなってしまう。
ギバーが成功するためには、「誰にどれだけ与えるか」を慎重に見極めることが必要だ。ただ親切にするだけではなく、自分にとってプラスになる関係を築く意識を持とう。
テイカーにはマッチャーの姿勢で対応
テイカーと関わるときは、ギバーではなくマッチャーとして対応するのが効果的だ。マッチャーとは、与えた分だけ受け取る姿勢を持つ人のこと。テイカーに対しては、このバランス感覚が重要になる。
たとえば、仕事でテイカーが手伝いを求めてきた場合。「これをやってくれたら手伝うよ」と対等な取引を意識する。そうすることで、一方的に利用されるのを防ぎつつ、仕事の効率も上がる。
また、友人関係でも「前回は私が出したから、今回はお願いね」と伝えるだけで、関係性が大きく変わる。テイカーは損得で動くため、損するとわかれば態度を改めることが多い。
ただし、すべての関係をマッチャーのルールで動かす必要はない。相手がギバーやマッチャーなら、気持ちよくギブするのもいい。しかし、テイカーには対等な関係を求めることが、自分を守るために欠かせない。
テイカーを見抜くためのポイント
成功するギバーは、テイカーを見抜く力も持っている。最初から見極めることで、不要な搾取を避けることができるのだ。
テイカーの特徴のひとつは、「見返りのない人には冷たい態度をとる」こと。たとえば、飲食店の店員に横柄な態度をとる、権力のある人には媚びるが、立場の弱い人には冷たいなどが典型的な例だ。このような行動をする人は、他人を利用する傾向が強いので注意が必要だ。
また、テイカーは「自分をよく見せる」ことに必死なことが多い。SNSで過剰に自慢話を投稿したり、実力以上に自分を大きく見せようとしたりする人は、テイカーの可能性が高い。
テイカーに利用されないためには、「相手の行動」をしっかり観察することが大切だ。表面的な優しさに惑わされず、長期的な視点で信頼できる相手かどうかを見極めよう。成功するギバーは、助けるべき相手を正しく選ぶことで、自分の成長と成功を手に入れているのだ。
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ギバーが成功する理由とは？
成功するギバーは、単なる「いい人」ではなく、周囲との関係をうまく築く能力を持っている。その結果、多くの協力者を得て、長期的に大きな成果を生み出していくのだ。なぜギバーが成功しやすいのか、その理由を詳しく見ていこう。
周囲の協力を得られやすい
ギバーは、自分だけの利益を追求せず、相手を助けることを大切にする。そのため、多くの人から「この人のためなら協力したい」と思われやすい。
たとえば、職場で同僚が困っていたとき、ギバーは「何か手伝えることはある？」と声をかける。最初は小さな親切でも、それが積み重なることで信頼が生まれる。いざ自分が助けを必要としたとき、周囲が自然と手を貸してくれるのだ。
さらに、ギバーの姿勢は、上司やクライアントからの評価にもつながる。「この人と一緒に仕事をすると安心できる」「誠実な人だから任せたい」と思われることで、昇進や新しいチャンスを得やすくなる。
成功するためには、どれだけ周囲を巻き込めるかが重要だ。ギバーは、この「協力を得る力」を持っているため、長期的に見て成果を上げやすい。
長期的に見て信頼が築かれる
テイカーは短期間で成果を出せることもあるが、信頼を築くのが難しい。一方で、ギバーは「この人は信頼できる」という評価を得やすく、長期的な成功につながるのが特徴だ。
実際に、ビジネスの世界でも「信頼関係のある取引先」は優先される。たとえば、営業職でトップセールスになる人は、単に売上を追うのではなく、顧客との関係を築くことを重視する。顧客の悩みに寄り添い、本当に役立つ提案をすることで、「この人なら信頼できる」と思われ、リピーターや紹介が増えていく。
また、ギバーの特徴として「他人の成功を喜べる」点も挙げられる。誰かが成果を出したとき、自分のことのように喜び、祝福する姿勢は、周囲からの好感を集める。信頼は一朝一夕では築けないが、ギバーはその積み重ねが得意なため、結果的に大きなチャンスをつかみやすいのだ。
人間関係の質が成功を左右する
人は一人では成功できない。ビジネスでも、スポーツでも、どんな分野でも、成功者の周りには必ず優秀な協力者がいる。ギバーは、この「人間関係の質」を高めることができるため、より大きな成果を出せるのだ。
たとえば、歴史に名を残す偉人たちを見ても、彼らは決して一人で成功したわけではない。優秀なパートナーや支援者がいたからこそ、大きな業績を残せた。ギバーは「人を大切にする」姿勢があるため、こうした強い味方を得やすい。
また、現代の企業経営でも、社員を大切にする経営者ほど成功しやすい傾向がある。従業員の働きやすさを考え、成長の機会を提供するリーダーは、組織全体のモチベーションを高める。その結果、会社全体が成長し、長期的に発展するのだ。
成功は個人の努力だけでなく、人間関係の影響も大きい。ギバーは、周囲との関係を良好に保ち、自然と人が集まる環境を作るため、最終的に大きな成功を収める可能性が高いのだ。
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GIVE & TAKEの要点と成功するギバーの秘訣
今回の記事では、GIVE & TAKE「与える人」こそ成功する時代の要約をもとに、成功するギバーの特徴やテイカーとの関わり方について解説しました。この記事のポイントをまとめました。最後におさらいしましょう。
- 与える人（ギバー）が成功するための考え方を学ぶ
- 自己犠牲を避け、Win-Winの関係を築くことが大切
- テイカーにはマッチャーとして対応し、利用されない工夫をする
ギバーは単なる「いい人」ではなく、成功するための戦略的な思考が重要です。適切に人と関わることで、信頼と成果を手にすることができます。人間関係や仕事で損をしないために、本書で学んだギブの方法をぜひ実践してみてください。この本を読めば、与えることの本当の価値がわかり、成功への一歩を踏み出せます。
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