本の基本情報
著者プロフィール
【著者プロフィール】
https://www.amazon.co.jp/
山崎元(やまざき・はじめ)
経済評論家。専門は資産運用。1958 年北海道生まれ。東京大学経済学部卒業後、三菱商事に入社。野村投信、住友信託、メリルリンチ証券、楽天証券など12 回の転職経験を持つ。連載記事やテレビ出演多数。著書に『全面改訂 第3版 ほったらかし投資術』(水瀬ケンイチとの共著、朝日新書)、『超改訂版 難しいことはわかりませんが、お金の増やし方を教えてください!』(大橋弘祐との共著、文響社)、『経済評論家の父から息子への手紙――お金と人生と幸せについて』(Gakken)など。2024 年逝去。
本書の要点
- がん保険は不要で、がん治療にかかる費用は貯金や国民健康保険で十分カバーできると著者は述べている。実際にがんの治療費は想像よりも少額で済むことが多い。
- がん患者は情報を制限しないと精神的に負担が大きくなる。特にインターネットや他者からのアドバイスがかえって混乱を招くため、必要な情報だけに絞ることが大切。
- 物を持ちすぎず、必要最低限にすることが心の平穏を得る鍵になる。著者はがんを契機に持ち物を整理し、身軽な生活を実践している。
- 人生の幸福感の多くは他者とのつながりや承認されることに由来するため、がんになっても仕事を続け、人との関わりを持ち続けることが健康と幸福の源泉であると考えている。
「がんになってわかったお金と人生の本質」とは?
この本は、著者である経済評論家ががんを経験した中で感じた「お金」と「人生」の本当の価値を綴ったものです。がんという重大な出来事を通じて、彼は普段気づかないことに気づき、特にお金の使い方や生き方について考え直すきっかけとなりました。著者が気づいた大切な教訓は、日常生活におけるお金の管理だけでなく、人生そのものをどう生きるかに関わるものです。この本を読めば、あなたも普段見逃している大切なことに気づくでしょう。
- がんとお金の関係を再考する
- 内視鏡検査の重要性を理解する
- がん保険に頼らない生活設計
著者が伝えるがんとお金の本当の関係
がんを宣告された著者がまず直面したのは、治療費の問題です。がんにかかると、膨大なお金が必要だというイメージがありますが、著者はその実情が異なることに気づきました。多くのがん患者は、治療費に対して過剰に不安を抱くことが多いですが、実際には高額医療費制度を活用すれば、多くの費用が補助されます。実際、著者は約75万円の治療費のうち、61万円が払い戻されました。
治療にかかる費用は思ったほど高額ではなく、一般的な貯金や国民健康保険でカバーできる場合がほとんどです。高い病室を選ばなければ、さらに費用を抑えることができるでしょう。結局のところ、がんになったからといって、すべての資産を使い果たすわけではなく、適切に計画を立てれば安心して治療に向き合えるのです。
内視鏡検査の重要性に気づく瞬間
著者が痛感したもう一つの教訓は、内視鏡検査の重要性です。がんが発見される前、彼は長い間検査を怠っていましたが、それが命を脅かす結果につながりかねないと感じました。がんは早期発見が命を救うことに直結しますが、多くの人は検査の手間や費用を理由に避けがちです。しかし、著者は「もし毎年検査を受けていれば、もっと早い段階でがんを発見でき、治療が楽だったかもしれない」と振り返ります。
特にがんが見つかる可能性が高い35歳以降の人は、毎年の内視鏡検査を怠らないようにするべきです。検査を受けることで、手遅れになる前に自分の健康状態を把握し、適切な処置ができるのです。
がん保険よりも貯金が有効な理由
がん保険についても、著者は「不要」と断言しています。なぜなら、実際のがん治療費は思ったほどかからないからです。著者の経験では、がん保険に加入していたとしても、その保険金が必要になる場面は少なく、多くの治療費は国民健康保険や高額医療費制度でまかなわれます。
さらに、毎月支払うがん保険の保険料を積み立て投資や貯金に回すことで、より効果的にお金を活用できると感じました。
がん保険は本当に必要ない?著者の実体験
がん保険が本当に必要なのか疑問に感じる方も多いでしょう。しかし、著者の実体験から明らかにされたのは、がん保険がなくても十分に対応できる現実です。多くの人は「がんになったら莫大な医療費がかかる」と思い込みがちですが、国民健康保険や高額医療費制度をうまく活用することで、予想外に少額で済む場合がほとんどです。貯金をしっかりと備えておけば、がん保険に加入しなくても安心して治療に専念できるという実感が伝わります。
- がん治療の実際の費用はどうなのか?
- 高額医療費制度を賢く使おう
- 貯金があればがん保険は不要
がん治療にかかる実際の費用とその内訳
著者が受けたがん治療の費用は、全体で約235万円でした。この金額を見て「やっぱり高額だ」と思うかもしれませんが、実はその内訳をよく見ると、約160万円が著者が選んだ高級病室の費用でした。つまり、普通の病室を選んでいれば、費用はもっと安く済んだというわけです。また、手術や抗がん剤治療にかかった75万円のうち、61万円は高額医療費制度を通じて払い戻されています。
結局、実質的に負担した治療費は約14万円程度でした。これを聞くと、がん治療が想像よりも負担にならないことがわかります。治療費全額を支払わなければならないという恐怖にとらわれる必要はないのです。このように、がん治療費が実際には意外に低いことが分かれば、がん保険に加入せずとも、自分の貯金でカバーできるという安心感が得られるでしょう。
高額医療費制度のメリットと活用法
高額医療費制度は、日本の医療費負担を軽減するために重要な制度です。この制度のおかげで、医療費が一定の額を超えると、その超過分が払い戻されます。著者の場合、治療にかかった75万円のうち、実際に負担したのはわずか14万円ほどでした。このように、がん治療であっても、自己負担額が大きく減るため、がん保険がなくても安心して治療を受けることができるのです。
さらに、申請はそれほど複雑ではなく、国民健康保険を通じて簡単に手続きが進められます。このように、がん保険に頼らずとも、制度をうまく活用することで、がん治療の費用を大幅に削減することが可能です。治療費の負担に不安を感じている方は、この制度をしっかりと理解しておくことが大切です。
高い病室を選んだ著者の決断の背景
著者が治療費の中で最も大きな支出となったのは、1泊4万円の高級病室です。通常の病室よりも快適な環境で過ごしたいという思いから、この選択をしましたが、これはがん治療に必ずしも必要な費用ではありません。しかし、病室の選択は著者にとって重要な意味がありました。がん治療は身体的にも精神的にも過酷なプロセスです。自分の心と体をリラックスさせるために、あえて高級病室を選ぶことで、治療に対するストレスを軽減し、快適な環境を確保しました。
このエピソードは、治療費のうち、どこにお金を使うべきかを考える際の一例として役立ちます。治療自体の費用は比較的少額でも、快適な環境で過ごしたい場合は、追加費用が発生する可能性があるということです。とはいえ、がん保険に加入してその費用をまかなう必要はなく、貯金を計画的に活用すれば十分に対応できるというのが著者の結論です。
定期検査の大切さを改めて知る
がんの早期発見には定期的な検査が非常に重要です。著者は、がんが発見された時点でステージ3に達しており、早期に発見していればもっと軽い治療で済んだ可能性が高かったと振り返っています。内視鏡検査はその一つの方法で、がんが進行してしまう前に健康状態を確認する手段として有効です。特に35歳を超えたら、毎年の定期検査が推奨されます。がんのリスクが高まる時期に備えて、今からでも行動を始めましょう。
- 定期検査でがんを早期発見する
- 内視鏡検査の手間と効果を理解する
- 35歳から検査を始める重要性
早期発見の価値:内視鏡検査の役割
内視鏡検査は、がんを早期に発見する最も確実な手段の一つです。がんは初期症状が少ないため、検査を怠ると気づかないうちに進行してしまうことがあります。著者も初期の違和感を無視し続けた結果、がんが進行してからようやく発見されました。もし早い段階で内視鏡検査を受けていれば、治療はより簡単で、負担の少ないものになったかもしれません。
定期的な検査を受けることによって、症状が出る前にがんを見つけられ、結果的に命を守ることができます。特にがんリスクの高い年齢に差し掛かったら、検査を面倒がらずに受け続けることが大切です。健康に投資することで、将来の大きなリスクを回避できますよね。
検査を避けた結果、著者が直面した現実
著者は内視鏡検査を長期間避けたため、がんを発見した時点でステージ3に進行していました。早期発見できれば、がん治療の選択肢が広がりますが、進行が進んでしまうと治療もより困難になります。著者は、6月に違和感を感じてから数か月後に正式にがんと診断されましたが、その時点でがんはすでに進行していました。
このように、早期の段階で検査を行わなかった結果として、より大きなリスクを抱えることになったのです。もし内視鏡検査を定期的に行っていたら、簡単な手術だけで済んでいたかもしれないと後悔しています。読者の方も、健康診断や内視鏡検査の重要性を再確認し、検査を習慣化することを強くお勧めします。
何歳から定期検査を始めるべきか?
がんのリスクが増す年齢は、35歳からと言われています。特に食道がんや大腸がん、胃がんなど、内臓のがんは早期発見が難しいため、定期的な内視鏡検査が必要です。著者も検査を避けていたためにステージ3で発見されましたが、早期に発見できていれば、簡単な治療で済んだ可能性がありました。
35歳を過ぎたら、毎年1回の内視鏡検査を受けることが推奨されます。これにより、がんが進行する前に発見でき、治療やその後の生活の質も大きく変わるでしょう。大きな病気にかかる前に、定期検査を忘れずに実践してください。
物を減らして心を軽くする生活術
がんに直面した著者が気づいたのは、物が多すぎると精神的にも物理的にも負担になるということです。がんの治療を通じて、必要以上に所有していた物を手放すことで心が軽くなり、生活がシンプルになりました。著者は、がんをきっかけに自分の持ち物を整理し、本当に必要なものだけを残す生活に変えたのです。このエピソードから、私たちも日常の持ち物を見直し、心の平穏を保つために必要なものだけを持つことの重要性を学べます。
- 持ち物を整理して心を軽くする
- 不要な物を手放すコツを学ぶ
- シンプルな生活で得られる心の平穏
がんを契機に始まった身の回り整理
著者は、がんを宣告された後、自分の持ち物を振り返り、実際に必要なものがどれだけあるのかを真剣に考えました。それまで多くのガジェットや高級品を集めていたものの、がんに直面するとそれらの物が自分にとって本当に必要なのか疑問に感じたのです。著者は、気づけば家に溢れた物が心の負担になっていたと振り返ります。
がんの治療を進める中で、持ち物を一つ一つ整理し、必要最小限の物だけを残すことにしました。特にカメラやバッグといった趣味の道具を手放す決断をした際には、自分の生活がいかに無駄な物で占められていたかを実感したそうです。これによって、心が軽くなり、生活がシンプルになっていきました。日常生活においても、不要な物を整理することで、心の平穏を保つことができるでしょう。
必要最低限の持ち物が心に与える影響
物を減らすことで、心も軽くなり、ストレスが減るというのが著者の実感です。物に囲まれていると、その管理にエネルギーを使い、気づかないうちに精神的な負担がかかります。一方、持ち物を最小限にすることで、物理的なスペースが広がり、心の中にも余裕が生まれます。
また、少ない持ち物で生活すると、何にお金や時間を使うべきかが明確になります。著者は、持ち物を整理した結果、日々の生活がより充実し、心の平穏を保つことができたと述べています。必要な物だけに囲まれて生活することで、余計なことに悩む時間が減り、自分の本当に大切なことに集中できるようになりますよ。
無駄な買い物を減らすための心得
著者は、物を減らすだけでなく、今後の買い物についても慎重に考えるようになりました。がんになる前は、買い物を通じて一時的な満足感を得ていましたが、それが長続きすることはなく、結局はもっと物が欲しくなるという悪循環に陥っていました。この経験から、無駄な買い物を減らすためには、物欲に流されず、本当に必要かどうかを見極める目が重要であると気づいたのです。
今では、著者は物を買う前に「この物が本当に必要か?」と自問する習慣を持っています。買った瞬間の満足感よりも、長く使い続けられる価値のある物を選ぶことが重要です。無駄な買い物を減らすことで、経済的にも余裕ができ、心も豊かになるでしょう。読者の皆さんも、次に何かを購入する前に、この本の教訓を思い出してみてくださいね。
情報過多に負けないために知っておきたいこと
がんに関する情報は膨大で、良いものもあれば悪いものも含まれています。特に、がん患者にとっては、どの情報が正しいのかを見極める時間も余裕もない状況が多いです。著者は実際に、多くの情報に触れることで混乱し、迷いが生じてしまったと語っています。その結果、必要な情報だけに絞る「情報の制限」をすることが重要であると実感しました。この記事では、がん患者が混乱せずに情報を取り入れるための方法を紹介します。
- 情報を制限して負担を軽減する
- アドバイスの影響を抑えた対処法
- 信頼できる情報源の見極め方
がん患者にとって情報を制限する重要性
がん患者にとって、情報の過剰摂取は精神的な負担を増大させます。がん治療に関する情報は、インターネットや書籍、さらには身近な人からも提供されますが、そのすべてを吸収しようとすると混乱してしまうことが多いです。著者も、最初は多くの情報に触れ、何を信じていいのかわからず迷いが生じました。
実際、がんに関する情報の中には、不正確なものや誤解を招くものも多く含まれています。そのため、すべての情報を取り入れるのではなく、自分にとって必要で信頼できる情報に絞ることが大切です。著者も、最終的には情報の選別を行い、自分にとって本当に有益なものだけを残すことで、安心して治療に向き合えるようになりました。
他人からのアドバイスが逆効果になる理由
がん患者は、周囲の人からさまざまなアドバイスを受けることが多いです。しかし、著者はこれが必ずしも良い影響を与えるとは限らないと述べています。特に、自分から求めていないアドバイスは、逆にプレッシャーや不安を引き起こすことがあるのです。アドバイスを提供する側は善意であることが多いですが、それががん患者にとっては負担になることがよくあります。
たとえば、友人や家族からの「この治療法がいいよ」「こうした方がいいんじゃない?」といった言葉が、がん患者にとっては負担に感じられることがあります。著者は、無理にアドバイスを押し付けず、患者が自ら求めたときにだけ助言をすることが、より良いサポートになると感じています。
信頼できる情報源を見つけるコツ
膨大な情報の中から、信頼できるものを見極めるのは簡単ではありません。著者が実践したのは、専門家からの情報や、確かな実績がある書籍や医療機関の情報に絞るという方法です。インターネット上には、個人的な意見や誤った情報が溢れているため、がん患者自身がその情報をしっかりと精査する必要があります。
特に、治療法に関する情報は、信頼できる医師や医療機関からのものに限ることが重要です。また、複数の信頼できる情報源を比較して、一貫した内容がある場合にその情報を採用するのが良いと著者はアドバイスしています。この本でも述べられている通り、情報に振り回されず、自分にとって本当に必要なものだけを選び取ることが、心の安定にもつながります。
仕事があるからこそ元気でいられる理由
著者はがんの闘病生活の中でも、仕事を続けることが自分に元気を与えてくれたと感じています。がんになったからといって、すべての活動を停止する必要はないのです。むしろ、他者に求められる役割があることで、自分が存在している意義を再確認でき、精神的な支えとなるのです。この記事では、仕事ががん患者に与えるポジティブな影響と、仕事を通じた自己実現の重要性について説明します。
- 仕事ががん患者に与える活力
- 他者に必要とされる喜びと役割
- 仕事を通じて得る自己実現と充実感
がん治療中でも著者が仕事を続けた理由
著者はがんと診断された後も、仕事を続ける選択をしました。連載を持っていたため、毎週の締め切りに追われる生活でしたが、それが彼にとっては生きがいとなり、がんと闘う力を与えてくれたのです。仕事があることで、日常生活に目的が生まれ、がんと戦いながらも前向きな姿勢を保つことができました。
もちろん、がん治療は体力を奪うため、すべての仕事をこなすのは難しかったでしょう。しかし、著者は執筆など自分が無理なくできる仕事に注力し、社会とのつながりを維持し続けました。このように、仕事を続けることが精神的な支えとなり、がんと闘う力を保ち続けることができたのです。
承認欲求が人を支える力とは?
人は誰しも、他者に認められたい、必要とされたいという承認欲求を持っています。特にがんのような重大な病気に直面した時、この承認欲求が心の支えとなることが少なくありません。著者も、自分がまだ社会に貢献できる存在であるという実感が、精神的な安定を保つ大きな要因となりました。
がん治療中でも、他者に求められる仕事を持っていたことで、著者は「自分がまだ役立つ存在だ」と感じることができました。この承認される感覚が、彼にとっては元気の源であり、治療を乗り越える力となったのです。この本では、仕事を通じて承認欲求を満たすことが、いかに人を支える力になるかが強調されています。
誰かに必要とされることの重要性
仕事があることで、誰かに必要とされる実感を得ることができます。特にがん患者にとって、日常生活が一変し、自分が役に立っていると感じる機会が減る中で、仕事を通じて他者に貢献することが、精神的な救いとなります。著者も、連載や執筆活動を通じて、読者や社会に対して何かを提供し続けることで、がんと向き合う力を得ていました。
がんという病気は、心身ともに大きな負担を伴いますが、誰かに必要とされる存在であり続けることで、気持ちの上での支えとなるのです。この本を通じて、読者もがん治療中にどのようにして自分の役割を見つけ、社会とのつながりを保ちながら前向きに生きていくかのヒントを得ることができるでしょう。
がんになってから気づいたお金と人生の本質を理解しよう
今回の記事では、がんになってわかったお金と人生の本質について解説しました。
この記事のポイントをおさらいしましょう。
- 定期的な検査の重要性を理解する
- がん保険は必須ではない
- 必要なものにお金と時間を使う
これらの教訓は、著者の実体験に基づいており、がんと向き合う際に重要な指針になります。
今こそ、自分の健康や人生を見直し、無駄な物を減らして充実した生活を送りましょう。
この本を読んで、がんへの備えや人生の再設計に役立ててください。
ブログランキングに参加しています。バナークリックで応援をお願いします!