本の基本情報
著者プロフィール
永松茂久
株式会社人財育成ＪＡＰＡＮ代表取締役。大分県中津市生まれ。２００１年、わずか３坪のたこ焼きの行商から商売を始め、２００３年に開店したダイニング陽なた家は、口コミだけで県外から毎年１万人を集める大繁盛店になる。自身の経験をもとに体系化した「一流の人材を集めるのではなく、今いる人間を一流にする」というコンセプトのユニークな人材育成法には定評があり、全国で多くの講演、セミナーを実施。「人の在り方」を伝えるニューリーダーとして、多くの若者から圧倒的な支持を得ており、講演の累計動員数は延べ４５万人にのぼる。２０１６年より、拠点を東京麻布に移し、現在は執筆だけではなく、次世代育成、出版コンサルティング、イベント主催、映像編集、ブランディングプロデュースなど数々の事業を展開する実業家である。著作業では２０２０年、書籍の年間累計発行部数で６５万部という記録を達成し、『人は話し方が９割』の単冊売り上げで年間ランキング１位を獲得（日販調べ、ビジネス書）した
https://www.kinokuniya.co.jp/f/dsg-01-9784799110089
本書の要点
- 人は誰でも、自分のことを話したいという強い欲求があり、そのため「話を聞いてくれる人」への好感度が自然と高まる。聞き手が安心感を与えられれば、相手は心を開きやすくなる。
- 相手に安心感を与え、信頼を築くには「うなずき」や「表情」を効果的に使うことが重要である。表情は相手の感情に合わせ、うなずきには強弱をつけることで、相手が「自分の話が大切に聞かれている」と感じるようにする。
- 聞き方の基本は「相手を否定しない」こと。特に「それは違う」と反論せず、相手の価値観を尊重し、自分とは違うと捉える姿勢が嫌われない聞き方のポイントである。
- 「ここだけの話」を他人に漏らさないなど、信頼を保つことも大切。聞き手としての信頼を築くには、相手の秘密や悩みを厳守し、安心して話せる関係を維持する姿勢が重要である。
- 人は話を聞いてもらえるだけで、心が軽くなり救われることがある。聞き手がいることで孤独を感じにくくなり、相手の支えとなる聞き方が大きな力になる。
人は聞き方が9割で好かれる聞き方とは
この本は「話し方」ではなく「聞き方」に焦点を当て、相手から好かれるための具体的な「聞き方のテクニック」を提供しています。日常会話からビジネスの場面まで役立つ内容で、聞くことで信頼関係を深め、相手に安心感を与える方法を紹介。以下のポイントを実践することで、会話での印象が劇的に向上するでしょう。
相手に安心感を与える聞き方の基本
安心感を与える聞き方は、人との距離を縮めるための第一歩です。「人は話しを聞いてもらうと安心し、心を開きやすくなる」という心理を踏まえて、著者は「うなずき」「表情」「相槌」などの基本テクニックを紹介しています。まず、「表情を柔らかくする」こと。相手がどんな話をしていても、真剣な表情で向き合いながら、優しい眼差しを忘れずにいることが大切です。これは、相手に「あなたの話を聞いているよ」という安心感を与える基本です。
さらに、肯定の意を示す小さなうなずきも重要なポイントです。これにより相手が「自分の話に興味を持ってもらえている」と感じやすくなり、心を開きやすくなるとされています。表情やうなずきで相手に「受け入れられている」印象を与えることで、会話が自然とスムーズに進むのです。
話を引き出すための表情の使い方
表情の使い方も、相手に安心感を与える重要な要素です。本書では、ただうなずくだけでなく「相手の感情に寄り添う表情をする」ことの大切さを強調しています。たとえば、相手が悲しい話をしているときは、優しい表情でその気持ちに寄り添い、相手が嬉しそうに話しているときは共感を示す笑顔で返すといったふうに、表情で気持ちを共有します。
人は、自分の感情に共鳴してくれる相手に心を開きやすいものです。こうした表情の使い分けにより、話し手は「この人は自分の気持ちを理解してくれている」と感じ、心を許しやすくなります。表情を使い分けることで、話し手の心理的な壁を取り払い、深い信頼関係を築けるのです。
積極的なうなずきがもたらす効果
うなずきは、安心感を与え、会話のリズムを作る重要なテクニックです。「積極的にうなずくことで、話し手にとっての快適な空間が生まれる」と著者は述べています。たとえば、ただうなずくだけではなく、うなずきの強弱をつけることによって、話し手に「自分の話が響いている」と感じてもらうことができます。
うなずきには、「軽い肯定」を示す小さなうなずきや、「大きな共感」を示す深いうなずきなど、いくつかのバリエーションがあり、それを使い分けることが有効です。話し手が情熱を込めて話すときには、大きくうなずくことで話に共鳴していることを示し、静かに聞く場面では小さなうなずきをする、といった調整が相手の安心感につながります。
姿勢で伝える「あなたに集中しています」
姿勢もまた、聞き手の「あなたに集中しています」という気持ちを示すための重要なポイントです。本書では「相手の体に向けて自分の姿勢を整える」ことが推奨されています。正面に向き合うことで、話し手は「自分の話に興味を持っている」と感じやすくなり、リラックスして話せる空間が生まれます。
また、腕組みや後ろに反り返るような姿勢は避け、少し前のめりで、真剣な表情を保つことも重要です。姿勢一つで相手に「全力で話を聞いている」という印象を与えることができるのです。聞き手の姿勢がもたらす効果を実感するためにも、姿勢を意識することで、相手に伝わるメッセージが大きく変わってきます。
信頼を築くために必要な聞く姿勢
「聞く姿勢」は、話をする相手に信頼されるための要素です。聞き手が誠実に話を聞くと、相手は「この人は自分を受け入れてくれている」と感じやすくなります。具体的には、相手の話を否定せず肯定し、価値観の違いを尊重することが重要です。以下に、信頼を得るための聞き方を解説します。
相手を肯定する重要性とポイント
相手を肯定する姿勢は、会話の中で相手の自尊心を保つために欠かせません。特に相手の意見が自分と違うと感じた場合でも、「それは違う」と指摘せずに、「そうなんだね」「なるほど、そういう考えもあるね」と肯定的な反応を心がけましょう。これにより、相手は自分の価値観が受け入れられていると感じ、自然と心を開くようになります。
否定せずに肯定することで、「この人には自分の意見を安心して話せる」という印象を与えるのです。さらに、「そうだよね」「分かるよ」と相手に寄り添う言葉を使うと、より安心感を強めることができます。こうした小さな肯定の積み重ねが、信頼関係を築く土台となるのです。
違う価値観も否定しない聞き方
自分と異なる価値観に触れたときに、否定せずに受け入れる聞き方は、相手へのリスペクトを示すための効果的な手法です。人は、それぞれの背景や経験から異なる価値観を持っているもの。そのため、話を聞く際には「自分の常識」を基準にせず、「相手の考え方も一つの見解だ」と柔軟に考えましょう。
たとえば、相手が趣味や生活習慣について話したときに、自分とは異なると感じても、「それも素敵だね」「新しい発見があって面白いね」と言うことで、相手は「この人は私を尊重してくれている」と感じます。相手の価値観に歩み寄ることで、深い信頼を築けるのです。
「でも」を避けて気持ちに寄り添う
会話の中で「でも」という言葉を避けると、相手がより安心して話を続けやすくなります。「でも」は無意識のうちに相手を否定するように聞こえることが多く、場合によっては「意見が対立している」と感じさせてしまうこともあります。代わりに、「そうなんだね、それで？」と相手の話を引き出すような言葉を使うことで、相手はリラックスして話を続けられるでしょう。
また、「そうなんだ」という言葉に続けて「どうしてそう感じたの？」と尋ねることで、相手は自然に自分の思いや背景を話しやすくなります。これにより、相手は「この人は自分を理解しようとしてくれている」と感じ、安心感と信頼感を得られるのです。
聞き手が与える「安心感」の力
聞き手が与える安心感は、相手に信頼されるために大切なポイントです。聞く姿勢や適切な反応が、話し手に「この人に話してよかった」と思わせる効果を持ちます。感嘆や称賛を使ったリアクションも、聞き手の共感や関心を示す有効な手法です。ここでは、話し手に安心感を与える聞き方を具体的に解説していきます。
相手に感嘆と称賛を伝える方法
感嘆や称賛を伝えることは、相手の話に対する関心と尊敬を示すうえで非常に効果的です。「へぇ」「すごい」「それは素敵だね」といった反応が、話し手の満足感や安心感を高めます。このような感嘆と称賛を上手く使い分けると、相手に自信と安心を与えやすくなります。
例えば、相手が成果を話してくれた時に「それは大変だったね」「本当に素晴らしいよ」と感嘆を添えれば、相手は自分の努力や成績を認めてもらえたと感じます。こうした反応を自然に行うことで、相手は「自分の話に共感してくれる聞き手」だと感じ、信頼を寄せやすくなるのです。
話の流れに沿ったリアクションの重要性
話の流れに沿ったリアクションは、会話をスムーズに進めるために大切です。聞き手が適切なリアクションをすることで、話し手は「自分の話が受け入れられている」と安心し、会話を続けやすくなります。反応が乏しいと、相手は不安や不快感を覚えることがあります。
たとえば、相手が自慢のエピソードを語る際に「それはすごいね！」と称賛すれば、相手は「話を聞いてもらえた」と感じて満足します。こうした小さな反応を積み重ねていくと、会話の場が温かく楽しい雰囲気に包まれ、相手は「もっと話したい」と思うようになりますよ。
「ここだけの話」を漏らさない心がけ
会話の中で「ここだけの話」として打ち明けられる内容は、聞き手にとって大切な信頼の証です。そのため、話の内容を他言せず、話し手のプライバシーを尊重することが重要です。相手が打ち明けた秘密を漏らさないことで、聞き手は「信頼できる人」として評価され、話し手はより安心して話を続けることができます。
例えば、仕事の悩みや家庭の事情を話してもらった場合、それを他人に話さないことで、「この人には安心して話せる」と感じてもらえるでしょう。相手の話を守る姿勢が、あなたへの信頼感を強めるきっかけになるのです。
好かれる聞き方で避けるべきNG行動
好かれる聞き方には、避けたほうが良い行動も存在します。相手の話を中断したり、話題を切り替えたりすると、相手は安心感を失いやすくなります。ここでは、好かれる聞き方において避けるべき行動を解説し、安心して会話を続けてもらうための工夫を紹介します。
話の途中で遮らない工夫
会話中に相手の話を遮るのは避けるべき行動の一つです。相手が話している途中で口を挟まれると、自分の話が軽視されていると感じ、気持ちが冷めてしまうことがあります。話し手が話し終えるまで待つ姿勢が大切です。
たとえば、「ところで」や「それより」などの言葉で会話の流れを急に切り替えるのも避けましょう。こうした言葉が続くと、相手は「私の話は興味がないのかな？」と不安になります。話が終わるまで待ち、反応や質問を通して会話のテンポを守りましょう。
話題を切り替えない会話の流れ
話題の切り替えは、特に話し手が大事なことを話している時には要注意です。話の流れを変えられると、相手は「自分の話がちゃんと聞かれていない」と感じ、モヤモヤが残る原因になります。
たとえば、相手が感情を込めて話している最中に急に別の話題を切り出すと、相手は「私の話は価値がないのかな」と感じかねません。そこで「うんうん」「そうなんだ」と相手に寄り添ったリアクションを入れることで、相手が話し終えるまで見守る姿勢が伝わります。
マウントを取らず、競わない姿勢
相手より優位に立とうとする発言や態度も、聞き手としては避けたい行動です。「自分ももっとすごい経験があるよ」と自慢してしまうと、相手は「私の話は大したことではないのかな」と感じやすくなります。
会話の中で相手に共感し、マウントを取らずに聞くことで、相手は「この人には自分をさらけ出せる」と感じやすくなります。
聞くことで得られる良いこととは？
聞き手としての姿勢を持つことで、相手に好印象を与えるだけでなく、自分にも多くのメリットがあるのです。聞くことは情報のインプットを増やし、自分の世界観を広げる助けにもなります。ここでは、聞き手として得られる良い影響について具体的に説明します。
人間関係の深まりと評価の向上
聞き手としての姿勢を意識することで、人間関係がぐっと深まります。人は自分の話をしっかり聞いてくれる人に信頼を寄せやすく、「この人は私に関心を持っている」と感じやすくなるのです。この効果は特に職場や友人関係で役立ちますよね。
たとえば、同僚や上司の話に対してしっかりと聞く姿勢を持つだけで、自然と相手からの評価が上がることがあります。「あの人は落ち着いていて頼りになる」「安心して話せる」という印象を与えるため、信頼感を持ってもらいやすくなりますよ。こうして聞き手になることは、仕事の場面でも自分のポジションを向上させる一つの手段となるのです。
簡潔な言葉で伝えられる理由
聞き手は、実は語彙力を高めることなくコミュニケーションをスムーズに進められる利点があります。話し手としての立場であれば、相手に伝わるように多くの言葉や表現力が必要ですが、聞き手としての役割にはそれほど多くの語彙は求められません。
「聞き手」でいることで、あえて自分が話し手になることを避けられるため、会話で失敗するリスクが減ります。むしろ、相手の話に「うんうん」「なるほど」と合図を送ることで十分にコミュニケーションが成立します。話し方に自信がない人でも、聞き手に回ることでスムーズなコミュニケーションができるようになるのです。
聞き上手が得られるインプットの力
聞き手でいると、さまざまな考えや価値観を受け入れる機会が増え、情報のインプットが自然と増えるのが魅力です。話し手が提供する多様な話題や意見を聞くことで、自分では気づけない新たな視点や学びを得られます。
また、聞き手の役割を意識すると、相手の感情や立場を理解する感受性が磨かれ、より幅広い知識や視野が広がります。結果として自分の価値観や理解力が深まり、話を聞くことが自分を成長させる手助けにもなるのです。
聞く力で人を救う「安心感」の真価
「聞く力」は、相手に寄り添い、安心感を与える大きな役割を果たします。たとえわずかな時間でも、聞き手が相手の話を真剣に聞くだけで、相手の心が軽くなり、勇気づけられることがあります。以下では、聞くことで人に安心感を与える重要性について解説します。
たった一人の聞き手が持つ大きな影響
聞き手として真剣に相手に向き合うことで、その人にとってかけがえのない存在になれることがあります。たとえ日常のささいな会話であっても、相手の話を丁寧に聞く姿勢が「この人には安心して話せる」という印象を与え、信頼関係が生まれます。
また、例えば職場で悩んでいる同僚や、日常生活で不安を抱える友人があなたに打ち明けてくれた時、あなたが耳を傾けることで相手は気持ちが軽くなり、安心感を得られるのです。このように、一人の聞き手が持つ影響は計り知れませんよね。
人の孤独を癒す聞き方の大切さ
現代社会では、多くの人が孤独を感じることが少なくありません。聞き手の役割は、相手が抱える孤独を和らげるためにも非常に重要です。話す機会が少ないと感じている人にとって、話を聞いてもらうだけでも心が救われる場合が多いのです。
誰かに自分の悩みや考えを理解してもらう経験がないと、人はどこか不安や孤独を感じがちです。あなたが聞き手となって相手の心に寄り添うことで、その人にとって貴重な「安心できる時間」を提供できます。孤独を癒す聞き方は、ただ聞くだけで相手に大きな支えを与えるものですよ。
聞くことで相手の背中を押す役割
時には相手が何か大きな決断をする際、あなたが聞き手としてそばにいることで相手の不安を和らげ、背中を押すことも可能です。聞き手がいることで相手の思いを整理しやすくなり、自分の考えに自信を持ちやすくなります。
例えば、人生の転機や悩みごとを抱える友人が話を打ち明けてくれたとき、ただ聞いているだけでも「自分を信じて進める」と思えるように勇気づけられることがあるのです。聞き手の存在が、相手の一歩を後押しする力になるのです。
聞き方で信頼を築き人間関係を良くする方法
今回の記事では「人は聞き方が9割」の要約として、相手に安心感を与え、信頼を築くための聞き方について解説しました。この記事のポイントをまとめました。最後におさらいしましょう。
- 相手に寄り添う姿勢を意識する
- 適切なリアクションで共感を示す
- 聞き手としての態度で信頼を高める
相手に安心感を与える姿勢やリアクションの方法を活用することで、聞き方による信頼構築が可能です。聞き手の姿勢を意識するだけで、人間関係がよりスムーズになります。「人は聞き方が9割」を参考に、日常の会話での信頼関係づくりにぜひ挑戦してみてください。本書を通じて得られる聞き方のスキルを学び、人間関係を改善しませんか？
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