本の基本情報
著者プロフィール
樺沢紫苑
精神科医、作家。1965年、札幌生まれ。1991年、札幌医科大学医学部卒。2004年からシカゴのイリノイ大学に3年間留学。帰国後、樺沢心理学研究所を設立。「情報発信を通してメンタル疾患、自殺を予防する」をビジョンとし、累計フォロワー50万人以上に精神医学や心理学、脳科学の知識・情報をわかりやすく伝える、「日本一アウトプットする精神科医」として活動している。
https://www.kinokuniya.co.jp/f/dsg-01-9784864108232
本書の要点
- 幸福を感じるには、セロトニン、オキシトシン、ドーパミンという3つの脳内物質の分泌が鍵となる。これらがバランスよく分泌される状態が真の幸福をもたらす。
- 幸福には優先順位があり、まず心身の健康(セロトニン的幸福)を整え、その後、人間関係やつながり(オキシトシン的幸福)、最後に成功や達成感(ドーパミン的幸福)を目指すべきである。
- セロトニン的幸福を得るためには朝散歩が効果的。朝日を浴びてリズム運動をすることでセロトニンが活性化し、精神的な安定が得られる。
- オキシトシン的幸福は、他者とのつながりを深める行動で得られる。感謝や親切な行為、スキンシップ、さらには動物や植物の世話などがその一例。
- ドーパミン的幸福は成長や達成感をもたらすが、過剰な追求は依存症や不幸を招く危険があるため、「制限しながら楽しむ」工夫が必要である。
健康・愛・成功が生む幸福の基盤
幸福は「セロトニン」「オキシトシン」「ドーパミン」という3つの脳内物質が鍵を握っています。これらがバランスよく分泌されることで、人生の幸福感が大きく変わります。ただし、幸せを得るには優先順位が大切です。まず心身の健康を整え、次に人とのつながりを深め、最後に成功や達成感を追求する。この順序を守ることが幸福への近道です。以下では、この3つの幸福をさらに深掘りして解説します。
幸福を左右する脳内物質の役割
脳内物質には、幸福感をもたらす重要な役割があります。それぞれが異なる幸福の形を担い、私たちの日常に影響を与えています。まず「セロトニン」は穏やかな幸福感を生み出し、心を落ち着かせる役割を持っています。これは主に健康的な生活習慣から得られるものです。
次に「オキシトシン」は、人とのつながりや愛を感じる際に分泌される物質です。たとえば、友人や家族との交流、親切な行為をしたときなどに発生します。これにより、他者との絆が深まり、心が温かくなるのです。
一方、「ドーパミン」は成功や達成感に関わる物質です。新しい挑戦に成功したとき、あるいは目標を達成したときに分泌され、高揚感を与えます。ただし、ドーパミンには過剰分泌の危険性があり、適切にコントロールすることが必要です。
幸せを得るための優先順位
幸福には、正しい優先順位があります。健康を土台に、つながりを大切にし、最後に成功を追い求める順序が理想的です。たとえば、心身が不健康な状態であれば、仕事の成功や他者との交流も楽しめなくなります。そのため、まずは健康を第一に考える必要がありますよね。
つながりに関しては、家族や友人、社会との絆が重要です。孤独を避け、積極的に人と交流することで、幸福感が強まります。そして、最終的に達成感や成功を追い求めることが幸福を完結させる流れです。これらの順序を守ることで、長期的な幸福を手に入れることができるのです。
健康を基盤とした幸福の大切さ
健康は、全ての幸福の基盤となります。身体的な健康を損なうと、幸福感を得る余裕がなくなってしまいます。日々の習慣が心身に与える影響を意識し、健康的な生活を心がけましょう。具体的には、十分な睡眠やバランスの取れた食事、適度な運動が挙げられます。
また、精神的な健康も見逃せません。ストレスを減らし、リラックスする時間を作ることが大切です。健康が整えば、自然とポジティブな感情が湧き、人生が充実します。
朝散歩がもたらすセロトニン的幸福
朝散歩は、セロトニンを分泌し幸福感を高める効果的な方法です。朝日を浴びながらリズム運動をすることで、心身がリフレッシュされ、精神の安定が得られます。この習慣は、体内時計をリセットし、一日の良いスタートを切る助けになります。以下で、朝散歩がなぜ有効なのか、その具体的な方法を解説します。
朝散歩のセロトニン効果
朝散歩をすることで得られる最大のメリットは、セロトニンの分泌が促されることです。セロトニンは脳内の「安定の物質」とも呼ばれ、気分を落ち着かせ、前向きな気持ちを育む役割を果たします。この物質が不足すると、不安やイライラが増え、生活の質が低下してしまうこともありますよね。
朝日を浴びることは、セロトニンの生成に欠かせません。さらに、リズム運動である散歩を組み合わせると、効果が倍増します。朝の静かな空気の中でリズムよく歩くことで、気持ちが整い、活力が湧いてくるのを実感できるはずです。
この習慣は、うつ症状の緩和やストレス軽減にも寄与します。また、体内時計をリセットすることで睡眠の質も向上します。結果として、一日の始まりから心地よい充実感を得ることが可能です。
通勤時に取り入れるシンプルな工夫
朝散歩をしたいけれど、忙しくて時間が取れないという方も多いでしょう。そのような場合でも、少しの工夫で朝散歩の効果を得られます。通勤時間を活用してみてください。
例えば、家を出る時間を10分早めて、駅までの道のりを少し遠回りして歩くのはいかがでしょうか。日差しを浴びながら少し早足で歩くだけでも、セロトニンが活性化されます。また、スマホを見るのをやめて周囲の景色に目を向けると、気分が穏やかになるのを感じられるかもしれません。
さらに、自転車通勤やラジオ体操などもリズム運動に該当します。通勤時に取り入れられる簡単な方法を模索し、日常生活に組み込むことで、セロトニン的幸福を手軽に得られるでしょう。
小さな習慣で得られる大きな幸福感
幸福感は、小さな習慣から生まれるものです。朝散歩を習慣化することで、毎日少しずつポジティブな変化が訪れます。青空を見上げ、風の音を感じるだけでも、心が軽くなる瞬間があるはずです。
重要なのは、完璧を目指さないこと。忙しい日には数分の散歩でも構いません。小さな努力を積み重ねることで、自分の心や体が確実に変わっていくのを感じられますよ。
このように、朝散歩は手軽で効果的な幸福習慣です。一日の始まりに心と体を整える時間を持つことで、人生全体が少しずつ明るい方向に進んでいくでしょう。
繋がりが生むオキシトシン的幸福
他者との繋がりは、幸福感を得るために欠かせない要素です。人と心の通った交流を持つと、脳内でオキシトシンが分泌され、愛情や安心感が高まります。親切や感謝を実践したり、スキンシップを取ることで、自分自身も相手も幸福感を共有できます。以下では、オキシトシン的幸福の詳細を解説します。
感謝や親切で幸福感を高める
感謝や親切な行動は、幸福感を増幅させる大切な要素です。親切な行為をすることで、自分と相手の両方にオキシトシンが分泌され、心が穏やかになります。たとえば、朝の挨拶や些細な手助けも十分に効果的です。
感謝の気持ちは、自分自身の幸福度を高めるだけでなく、相手との関係性を深めるきっかけにもなります。日記に感謝した出来事を記録する習慣を持つと、自然とポジティブな視点が養われます。
さらに、他人に対する親切や感謝は、社会的な繋がりを強化します。友人や家族との日常的な関わりの中で感謝の気持ちを表現することで、互いの絆が強まり、幸福感が持続的に高まりますよね。
スキンシップや交流の効果を知る
スキンシップは、オキシトシン的幸福を生む最も簡単な方法の一つです。握手やハグといった接触が、心を落ち着かせ、相手との距離を縮めます。特に親子間やパートナー間でのスキンシップは、安心感や愛情をより深める効果が期待できます。
また、スキンシップが難しい場合でも、アイコンタクトや温かい言葉のやり取りを通じて同様の効果が得られます。仲間との食事会や、家族と共に過ごす時間も良い影響を与えるでしょう。日常的な交流の中で、相手に思いやりを示す習慣を持つことが重要です。
他者との繋がりが深まることで、自分が社会の中で必要とされている実感が得られます。この実感が、人生全体の幸福感を底上げしてくれるのです。
孤独を解消する具体的な行動
孤独は幸福感を損なう大きな要因です。長期的な孤独は、健康に悪影響を及ぼし、うつ症状や寿命の短縮にも繋がることが分かっています。しかし、簡単な行動で孤独を緩和することは可能です。
例えば、日常的に他人との交流の機会を意識的に増やしてみましょう。SNSでの軽い会話や、地域のイベントへの参加が効果的です。また、動物や植物の世話も孤独を癒す手段として有効です。ペットと過ごす時間や庭いじりを楽しむことで、癒しの効果が得られます。
孤独を避けるためには、自分から行動する姿勢が大切です。他者との関わりを大切にすることで、オキシトシン的幸福をより強く実感できるでしょう。
成長と成功に繋がるドーパミン的幸福
ドーパミンは成功や達成感に直結する脳内物質です。これが分泌されると、心の中に「もっと頑張りたい」という意欲が湧きます。ただし、ドーパミンには「光」と「闇」の両面があるため、使い方を誤ると依存や不幸を招きかねません。ここでは、ドーパミンの性質を理解し、成長や成功に繋げるための方法を解説します。
ドーパミンの特性と正しい活用
ドーパミンは、目標達成時や新しい挑戦に成功した際に分泌されます。この物質は、やる気を引き出し、次の挑戦に向かうエネルギーとなります。たとえば、試験に合格した時や仕事でプロジェクトを完了させた時の達成感は、ドーパミンの影響によるものです。
しかし、ドーパミンには注意すべき点もあります。それは、簡単に得られる快楽に依存しやすいという特性です。アルコールやギャンブル、スマートフォンの過剰使用がその一例です。短期的な満足感を求めすぎると、長期的な成長を妨げる結果になります。
このため、ドーパミン的幸福を得るには、自分自身の成長に繋がる活動に焦点を当てることが重要です。少し難しい目標を設定し、それをクリアすることで得られる喜びを大切にしましょう。達成感の連鎖が、新たな目標達成のモチベーションを引き出してくれるのです。
達成感を持続させるコツ
達成感を持続させるには、目標を細分化することがポイントです。一つの大きな目標に向かうのではなく、小さなステップに分けて進めることで、達成するたびにドーパミンが分泌され、やる気が継続します。
たとえば、運動習慣をつけたい場合、一日10分のウォーキングから始め、少しずつ時間を増やすと良いでしょう。短期間で結果を求めず、達成感を積み重ねていくことが、長続きする秘訣です。
また、達成した結果を記録に残すことも効果的です。日記やチェックリストを活用し、自分の進歩を実感することで、さらなる意欲が湧いてきます。達成感を大切にすると、幸福感が増していきますよね。
幸福を長続きさせるための制限法
ドーパミン的幸福は、無制限に追求すると劣化しやすいという特性があります。短期間で頻繁に同じ快楽を得ようとすると、最初に感じた満足感が徐々に薄れてしまいます。そのため、適度に制限を設けることが大切です。
たとえば、チョコレートを毎日食べ続けると味の感動が薄れる一方、1週間食べるのを我慢すれば、再び強い満足感を得られます。同じように、スマホやゲームの使用時間を管理することで、楽しさが持続します。
制限を設けることで、幸福感を劣化させずに楽しむ方法を見つけられます。この習慣を身につけると、ドーパミン的幸福を上手に活用し、より充実した生活が送れるようになるでしょう。
幸せを科学する具体的な実践方法
幸福を科学的に捉えると、具体的な行動に落とし込むことができます。本書では、日常の中で簡単に取り入れられる実践的な方法をいくつか提案しています。これらを実践することで、幸福感を徐々に高め、持続させることが可能です。以下では、その具体的な方法を詳しくご紹介します。
幸福感を育む日々の習慣を作る
日常の中で幸福感を育むには、日々の習慣がカギを握ります。朝散歩をする、日記に感謝を記録する、他人に親切な行動を取るなど、簡単で効果的な方法がたくさんあります。これらの習慣は、長期的に続けることで大きな効果を発揮しますよね。
例えば、朝散歩ではリズム運動と朝日を組み合わせることでセロトニンが分泌され、気持ちがリフレッシュされます。これにより、精神の安定が得られ、幸福の基盤が整います。また、日記にその日の良かった出来事や感謝の気持ちを記録することで、日常の中に隠れた幸せを再発見できるようになります。
これらの小さな行動を積み重ねることで、自然とポジティブな感情が芽生えます。そして、生活全体がより良い方向に変わっていくでしょう。
小さな喜びに目を向ける心のトレーニング
日々の中にある小さな喜びに気づくことが、幸福感を高めるポイントです。青空の美しさや、時間通りに来た電車、誰かの笑顔に気づくことができれば、それだけで幸せを感じる力が養われます。
多くの人は、小さな幸せに気づく余裕を持たずに日々を過ごしています。しかし、心のトレーニングを重ねることで、身の回りの喜びを見つける感覚が磨かれます。具体的には、毎朝「今日はどんな良いことが起きるかな?」と考えるだけでも効果があります。
意識的にポジティブな視点を持つことで、心の中にある不安やストレスが軽減され、幸せを感じやすくなります。小さな喜びを探す習慣は、誰でも今日から始められますよ。
幸福行動を継続するための計画
幸福感を得るための行動を継続させるには、計画的に進めることが重要です。最初に無理のない目標を立て、小さな一歩を踏み出してみましょう。
例えば、朝散歩を習慣化したいなら、いきなり30分歩くのではなく、最初は5分だけ家の周りを歩くところから始めます。そして、少しずつ時間を延ばすことで、無理なく続けられるようになります。このように、最初のハードルを低く設定するのがポイントです。
また、達成した内容を日記に記録することで、自分が続けてきたことを実感できます。それが自信となり、さらに行動を継続するモチベーションへと繋がります。幸福行動を計画的に続けることで、豊かで充実した日々を手に入れましょう。
科学的な幸福を実現するための行動
この記事では精神科医が見つけた3つの幸福をもとに、科学的な視点で幸福感を高める方法を紹介しました。この記事のポイントをまとめました。最後に一緒におさらいしましょう。
- 朝散歩や感謝を意識してセロトニンを活性化する
- 他者との繋がりを深めてオキシトシンを分泌させる
- 達成感を得る行動でドーパミンを効果的に使う
幸福感を得るためには、健康、つながり、成功の順に行動を優先するのが大切です。それが長続きする幸福への鍵です。読んで終わりにするのではなく、まずは朝散歩や小さな感謝を見つけることから始めてください。この本にはさらに詳しい方法が載っています。ぜひ手に取って、自分の生活に役立ててみてください。
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